転校先を探す

私立小を辞めることになったら、次は転校先を探さなくてはなりません。退学の手続きを主人に任せ、同時並行で私は次の学校の調整です。後ろばかり向いてはいられません。だって、3月15日をすぎていましたから。まず、娘と話し合って、万が一学校に行くつもりになったら何を学校に望むのかを書きだしました。

  • 別室登校が認められるか(保健室登校は嫌。)
  • 母親が待機できる場所があるか(シェルター的な場所は必要)
  • グリーンノート(光の反射をおさえる緑色のノート)の使用は認めてもらえるか
  • 席の場所を考慮してもらえるか(窓側は光がきつい。後ろの方は集中できない)
  • フリースクールを認めてもらえるか(週1で行きたい)
  • パソコンの持ち込みができるか(学ぶツールの1つだから)
  • 同じマンションの子がいないか
  • 制服がないほうがいい(着心地にイライラする)
  • 体育と図工に出たい、算数は絶対にでたくない

うちの学区は制服です。ただ、学区外ではありますが区内には私服の学校もあります。学区外の学校に転校するには、それ相当の理由が必要になるらしく、教育委員会の会議にかけなくてはいけないらしい。そうなると4月の転校に間に合うかどうか。臨床心理士さんは教育委員会にすぐに事情を説明してくれていたので、私は転校手続きの担当の方と連絡がとれ、スムーズに動き始めることができました。まずは、こういうタイプの子はどういう環境を整えてやればいいのか相談しに、一番近い公立小に相談しに行くことになりました。制服のある学校です。娘が一番強く拒否感を出した学校でもあります。その学校になるなら1日たりとも登校しない!と言っている学校でした。子供たちが大きな声で下校している場面や、歩道を広がって歩いているとか、小競り合いをしているとか、普通の小学生レベルの行動ではあるんですが、それが娘には「マナーがなってない」とうつるんです。そして、それは怒りのレベルにまで達します。娘には、「その学校になると決まったわけじゃなくて、色んな子供を見てきた校長先生に、どういう環境がいいのか相談しに行くだけだから。」と話しました。

私はHSCをメインに相談する方針でいました。何せ、私立小では横並びを重要視され、つまり下に凸も上に凸もダメでしたから(だから試験があるんだと思います)。ところが、校長先生と話しているうちに話しの方向が怪しくなっていきした。最初は順調に光のことや音のこと、肌触りでイライラしちゃって制服が~とか言っていたのですが、区の臨床心理士さんにかかっているという流れから、知能検査の話がでて数値を聞かれてしまったのです。ウソを言うわけにもいかず、正直に答えました。そこからはもう開き直るしかない!と思い、授業内容も合わないし、知っている内容を6時間も聞いて耐えなきゃいけないつらさがあると打ち明けました。すると、「先日、ちょうど見たんですよ、ギフテッドの番組を。」と。3月12日に放送していた「素顔のギフテッド」のことです。「お子さんはギフテッドですね。いやー、小学校で学ぶものはないでしょう。その数値はなかなかいないですよ。そうなると話が変わってきますね。感覚過敏だけだと思っていたので、制服がない学校の方がいいのかなと考えていましたが、制服がなくなったところでお子さんのつらさが改善するわけじゃないでしょう。」と。娘が提示してきた内容をかなり飲んでいただけることになり、一度ここまでのやりとりを娘に伝えて相談することにしました。私自身、予想もしなかった方向に話しが進み始めたので動揺していました。教育者で初めてギフテッドへの理解を示してくれた方に出会ったんです。パニックでした。

自分が嫌っている学校から帰ってきた私に向ける娘の視線は、もちろんとがっていました。「校長先生がギフテッドをご存知だったの。」と言うと、娘の目がキラリと変わりました。娘は自分がギフテッドであり、またHSCということを知っています。そして、それは周りに理解してもらうのが難しいということも知っています。ギフテッドということに嫌悪感を抱いた時期もありました。普通がよかったと。今回は自分を理解してもらえるかもしれない、そう娘の中に希望が見いだせた瞬間だったんだと思います。「校長先生に会ってみたい。」娘がそう言いました。

それからコロナでお忙しい中時間を作っていただき、校長先生と面談しました。校内も案内してくださって、娘が今勉強している内容や興味のあること、得意なことなど聞いてもらえて、娘はとても満足げでした。そして帰ってきてから「校長先生の前では言えなかったんだけど、確認してみてほしいことがあるの。時々でいいから校長室で勉強したい。勉強を教えてほしいとかじゃなくて、見ててほしい。」と。またまた驚愕しました。前の学校では先生との関わりを遮断するようだったのに、今は自分から歩み寄ろうとしている・・・。それから、担任の先生とも事前に面談をさせていただきました。もちろん娘と一緒に。席をどこにするとか、授業を出ていきたくなったらどのように合図を出すとか、私が待機する場所の確認とか、娘がどうしたいかを一番に聞いてくれて寄り添ってくれました。そして娘は、大嫌いな制服を着て(ブラウスは指定じゃないものにしました。着心地重視のものを選んだので、3倍の値段になりましたが)始業式に出席しました。

「転校って一度してみたかったんだよね。」娘の気持ちはちゃんと前を向いています。

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